2025.06.07

『もっと考えて』というフィードバックはなにをどう考えたらいいのか

仕事をしていると、上司から「もっと考えて」というフィードバックをもらったことはないでしょうか。

抽象的なフィードバックで、具体的に何をすればいいのかがわからないことがあるかもしれません。

受け取る側としては「いや、考えたんだけどな……」とモヤモヤしてしまうし、言う側も「もうちょっと深く考えてくれたらいいのに」と思っていても、それがどういう作業を意味するのかまでは言語化していません。

この記事では、「もっと考えて」と言われたときに、どんなことを考え直せばよいのかを具体的な観点に分解していきます。

「もっと考えて」はどういう意味か?

「もっと考えて」というフィードバックは、乱暴に言えば次のようなメッセージです。

「出してきた案やアウトプットが、まだ浅い/的を射ていないように見える」

でも、浅いって何が? どうすれば「深い」状態になるのか? それは多くの場合、以下のような観点をすっ飛ばしているか、雑に処理しているということです。

「考える」を分解してみる

この文脈における「考える」は頭を悩ませたりアイデアが降ってくるのを待つということでありません。課題を解決するために必要なプロセスの作業が足りていないという意味です。つまりプロセスに従って作業をすればよいというだけです。

そこで、「考える」を具体的な作業に分解してみます。仕事における「考える」は、実際には以下のような行為を指していることが多いです。

1. 本当に解くべき課題を見極める

・今の議論や作業の目的は何か? ・「言われた通り」ではなく「求められている価値」は何か?

2. 課題を構造化・問題に落とし込む

・抽象的な問題を、どうすれば解ける状態にできるか? ・論点を分解し、何が不明かを明確にする。

3. 類似の事例やベストプラクティスを調べる

・似たような課題を他者はどう解決しているか? ・使える型やテンプレート、フレームワークはないか?

4. 選択肢を洗い出して比較検討する

・他にはどんな選択肢があるか? ・メリット・デメリット、実現性やインパクトを比較したか?

5. 実行プランまで落とし込む

・実際にそれをやるとしたら、誰が、いつ、どうやって? ・ステークホルダーの調整や、リソースの見積もりは済んでいるか?

「もっと考えて」と言われたときの対処法

「もっと考えて」と言われたときは次の問いを振り返るとよいでしょう

・このアウトプットの目的は明確だったか? ・他にあり得るやり方や方針はなかったか? ・リスクやトレードオフまで検討したか? ・参考にできる事例を調べたか? ・相手が期待する水準に届くだけの根拠を示したか?

これらの問いに「YES」と言える状態を目指すことが、「もっと考えた」状態の一つの目安になります。

さいごに

「考える力が足りない」と言われたとき、それは知識やIQの問題ではなく、プロセスを具体化して遂行する力が不足しているということです。

「もっと考えて」というフィードバックは曖昧ですが、そこで立ち止まらず、自分の思考を構造化して点検してみてください。